愛すべきエンスーたち

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エンスーとは


「隠れエンスーは語る」

このコラムを読んだ男性の知り合いから相次いでメールが送られてきた。
内心、びっくりである。
なぜって、彼らはこれまで自分が実はエンスーだという事実をおくびにも出さなかったからだ。
車に乗ったところも見たことないし、どんな車を持っているかすら知らない。そもそも仕事を通じて知り合った人ばかりなので、プライベートで「そんな趣味」があったなんて知る由もなかった。
半ば、いきなりカミングアウトされたようなもので、戸惑う私。
それならそうと早く告白してくれれば、一杯飲みつつ取材して、ネタを仕入れさせてもらったものを。まったく控えめなんだから、もう! というか、マニュアル車転がして喜んでいる私ごときじゃ話にならんと、はなから車を語る対象と見なされていなかったのか……。

まぁそんなことはいいとして、いわば「隠れエンスー」の彼らから送られてきたメールには、ある共通点があることを発見した。
まず、長い! 仕事のメールは10行でも、車のこととなるとその3倍のボリュームで文章が書き連ねられているのだ。好きな車、ほしい車の話に始まって、現在の車のトレンド、販売動向、自分の車観など、掘り下げる掘り下げる! 常日頃からカー雑誌やネットで情報収集しているだけあって、内容が濃くて厚みがあるのだ。熱く熱く車のことを語った後、ハッとわれに返るのか「あ、すみません。車のこととなるとつい興奮して…」ときまり悪そうにメールを締めくくるあたりも同じ。

いや、いいんですけどね、勉強になるし。

もう一つの特徴は、自分がこれまでに乗ってきた車遍歴を公開する点。これがまたエンスーならではというべきか、細かい細かい! 車種名はもちろん、グレードまできっちり書かれていて、人によっては色や年式までも。すみません、私、車種名まではなんとかわかりますが、グレードやら年式やらは区別がつかないんですってば。

でも、エンスー男たちにとっては、ここがこだわりどころなのであろう。なるほど、彼らがこれまで乗ってきた車を見ると、その人の志向というかタイプが浮き彫りになって興味深い。
年の割には落ち着いて見えるYさんは、やっぱり車の好みもさりげなく渋い。地味だが、走りを追求する車がお好みだ。普段はジャージ姿で仕事をしている熟年のNさんは、過去5台ともPやらFやらの華麗なるヨーロッパブランドのスポーツカーを乗り継いでいた。人は見かけによらんもんだと、彼を見る目がすっかり変わってしまった。ギョーカイでは結構有名人なのに、地域の役員とかもフツーにこなすTさんは車もバリバリのツーシーターと実用的なコンパクトカーを持ち合わせ、日によって乗り換えている。その二面性がにくい。

ある意味、車はその人の人となりを映す鏡みたいなものかもしれない。
だから、私は公私共に知り合った男性は、まず、どんな車に乗っているかをチェックすることにしている。