愛すべきエンスーたち

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エンスーとは


車中からのサイン

このコラムのネタを仕入れるべく、車好きの男友達からあれこれ聞き出している最中、彼がぼそりと言った。
「道を譲ったとき、会釈とかしないドライバー多いんですよね。特に女性が…」

「ほ~っほっほっほ。その通り! 私も道を譲られたとき、会釈なんてしない女の一人よ」
と不敵にほほ笑む私の顔を見て、ぎょとする彼。その瞳はみるみる軽蔑のまなざしへと変わっていった。すかさず、「会釈はせんけど、必ず、右手を挙げて挨拶するよ」
と言ったら、たちまち大笑いされた。

うちは両親とも車に乗るが、子どものころから父も母も、狭い田舎道で道を譲ってくれた対向車には右手をヒョイッと挙げて挨拶していた。だから、免許を取ってから20数年来、私も同じ状況に出くわすたび、会釈の代わりに右手を挙げ続けてきたし、それがグローバルスタンダードとすら思っていた。
でも、どうやら違うらしい。

「女性の場合はかわいく会釈でしょう。おっさんじゃないんだから」とくだんの彼。
なんでよ~! 会釈するより右手挙げて「よっ~す」とポーズする方が分かりやすいじゃん、少なくとも対向車には。すると「それをする人はごく稀です。特に女性の場合は」と切り替えされた。そうなん?

そうしてみると、車中からの挨拶のサインもいろいろある。
対向車に道を譲られたときは会釈というのが一般的だが、私のように手を挙げたり、軽くクラクションを鳴らす場合もある。車中から「どうぞ」と手振りで伝える人もたまにいる。

二車線から一車線への変わり目で後ろから割り込むようなとき、前に道を譲ってくれた車にハザードを数回点滅させるというのもある。これ、1~2回の点滅が原則だと思うが、たまに5回くらい連続して点滅させている車がいて困惑する(「ア・イ・シ・テ・ル」のサインじゃないんだから…)

ハザードじゃなく、前の車両の人影が左手を挙げて挨拶してくれるのが見えることがある。中には、わざわざ窓を開けて右手をピッと出して挨拶してくれる車もいる。これは滅多にお目にかかれないけれど、遭遇するとかなりうれしい。

「せまいにっぽん、そんなに急いでどこへ行く」
われ先にと無茶な割り込みや離合するときぐいぐい突っ込んでくる車より、さらっとスマートに道を譲ってくれるドライバーは、車種に関係なくそれだけでジェントルマンに見えてしまうのだ。