
さて14、5年もジムカーナを続けてきたチームを支えるのは、メンバーの並々ならぬ情熱(執着?)と多彩な才能によるところが大きい。
10台出走、それぞれ数十本ずつ走るわけで、タイム記録するの大変だよね、誰がストップウォッチやるの?と聞くと、
「ああ、光電管で計るからね」。
光電管!すごいじゃん、買ったの?
「メンバーが作った」。
作れるもんなんですか!?
なんでも凄腕のエンジニアがいる模様で
「今日もシフトレバーが折れたけど5分で直ってた」。
シフトレバーって折れるもんなの?
金属疲労おこすくらいシフトチェンジってするもんなの?
んで折れたら普通JAFとか呼ばないとだめなんじゃないの?
などと疑問が次々と湧くが直ったらしいからまあいい。
実は一度だけ、A氏の車でコースを走らせてもらったことがある。
駐車場にパイロンを並べただけのコース、正しい走路を覚えるだけでも大変だ。
『サイドターンなどで小回りな旋回を求められる低速セクションや、中速でのコーナリングや切り返し、高速からのハードブレーキング、そしてそれらを滑らかにつないでタイムロスを防ぐ走行ラインの取り方など、ひとつのコースであらゆる走行技術や戦略を必要とするレイアウトが設定される』。
(ウィキペディアより引用)
いやいや、“高速セクション”ったってシフトアップしていく余裕なんかない。
それどころかわたしは一度もシフトチェンジすることも叶わず、
全コース1速でひきずりまわしたのであった。
ずーーっとローのままうなりをあげて走りまわる愛車を、A氏はどんな思いで見ていたであろうか。
そしてついにゴーーーール、
しかし最後の最後でハンドル操作を誤り、ゴール手前のパイロンをなぎ倒してくわえこんだままエンストして停車した。
駆け寄ってきたA氏の顔が忘れられない。
ともかく通常走行以上に走行技術が必要とされるジムカーナ。
その1/100秒を計測する光電管計測で、1秒の中に6人ぐらいが並んだりする。
コンマ数秒が勝敗を分けるのだ。
そのコンマ数秒を稼ぐセオリーがあるらしい。
「走って1分数十秒のコースのあちこちに、“もったいない”が落ちてるんだよ」。
もったいない?
「そう。もったいないなーと思ったら、すぐ踏む」。
“あまった”と思ったらアクセルを踏みこめ、ということらしい。
「もうひとつ、自分のリズムで走ってはいけない」。
?? 自分のリズムで走っていると、違う車に乗った時にあわせられなくなるのだという。
自分のリズムではなく、その車に相談しながら乗る。
「スロットル踏みますけどいいですかーはい早すぎましたね戻しますー今度はいいですかー」って1/100秒くらいの間でやりとりするんだそうだ。
「大事なのは車とお話しすること。これに尽きますね」。
1分数十秒の間、ひたすら車の声に耳を澄まし、1/100秒を刻む。
家族などは立ち入る隙もないほどの愛がそこにあるのである。