愛すべきエンスーたち

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エンスーとは


Iエンスー Vol.10 飼い主に似る

かねがねずっと思っていたことなのだが、
犬とその飼い主はよく似ている。
性格まではわからないが、まず、見た目が。

街ですれ違う犬とその飼い主を、そういう視点で見てみてほしい。
なんだかそっくりだから。

顔も。髪型も。
あれどうしてなんでしょうね。

自分に似た犬を無意識に選んでしまうのか
自分に似た犬をやっぱりかわいいと思ってしまうのか
飼ってるうちに犬が飼い主に似てくるのか
それともその逆で飼い主が犬に近づいて行くのか。

わからないけど、そっくりの一匹と一人が散歩する様子はなんだか微笑ましい。 

さて車もそういうところがありますね。
乗ってる人と車、よく似てる。

自分に似た車を無意識に選んでしまうのか
自分に似た車をやっぱりかわいいと思ってしまうのか
乗ってるうちに車が持ち主に似てくるのか(これはないか)
それとも乗ってる人が車に近づいて行くのか。

車の場合、そのルックスだけでなく、燃費や走り、維持費など、選ぶ基準がいろいろあるので、オーナーの価値観がはっきりと反映されるように思う。

堂々とリッパに見せたい。
怖そうで悪そうに見せたい。
ものすごい高級を誇りたい。
そんなオーナーの欲望までも透けて見えてくるような車も多い。

一方、見た目には「似てない」感じになることもある。

まるっこいコンパクトカーからでっかいおじさんが降りてきたり、
ものすごくでかい高級車のフロントガラスに張り付くようにハンドルを握ってこわごわ運転する女性がいたり、
ああ、奥さんやダンナさんの趣味で買った車なのかな、などと想像するが、
もしかしたらその人たち本人のお気に入りチョイスかもしれない。

ふと、友人を思い出す。

博多の郊外に4人家族で暮らす彼女は、学生の頃からずっと軽自動車に乗っている。
なにごとにもさっぱりと潔い彼女は、シンプルで無駄がないものを好む。
「動けばそれでいいと」。
車は生活の足だから、そんな速く走らなくてもいいし、維持費と燃費が安いのがいちばんと言い切って、おんぼろになるまで大事に乗っていた。

彼女は小柄なのでいいとしても、ダンナはかなりでかい人である。
男子2人も小学生と幼稚園、これからどんどんでかくなる。
「いいといいと!乗れたらいいと!」

彼女の運転する車に先導されて博多の街を走った。

狭い車内、肩をすくめて乗るダンナと、こっちをむいて手をふったり足が見えたり、ずーっと動いてる兄弟が笑ってる。

そのおじいさん軽自動車は、重いのうやれやれしんどいわい、とぶつぶつ言いながら家族を乗せてトコトコ走る。がんばれ、おじいさん。
ぎっしりぎゅうぎゅうな家族、愛がだんごになって乗っている。

自分に必要なものを大事に愛することができれば、
誰に何をどう思われようと関係ないのだ。

彼女にとっても似合ってる、いい車だなあ、と後ろから眺めたのだった。