
知人がお客さんと交わした会話である。
(証言をもとに会話を再構成しておりますゆえ、一部ややフィクションです)
「●さんさぁ、ベ(高級輸入車)のワゴン買ったらしいよ」。
「へー、すごいですねぇ」。
「実はさぁ、僕も買っちゃったんだよね」。
「え、車ですか?」
「そ。マ(だいたい1500万円くらいの輸入車)」。
「ええーーーっ!そりゃまたすごいですね」。
「いやあ、いろいろ注文つけちゃってさあ、納車まで半年かかるんだけどね」。
「半年待ちですかぁ。そりゃ早く乗りたいでしょう」。
「うーん、それがさ、そんなにがんがん乗りたいってわけでもないのよね」。
どのような経済力のお方か存じませんが、それだけの車いろいろカスタマイズしてまでして買って、「乗りたいってわけでもない」ってこれいかに。
「あーなんか昔、そんな話聞いたことあるんですよ。
たけし(ビートたけし氏)がポルシェ買ったとき、自分で運転してもなんかおもしろくないんで、軍団のメンバーに運転させて、自分はタクシーで並走して走ってる自分の車見てるのがいちばん楽しいって。そんな感じですか?」
「あああ、わかるわ、その気持ち」。
車好きにもいろんな嗜好があるようだ。
「運転するのが好き」な人もいれば、
「所有するのが好き」な人もいるのだ。
美しい車、すごいエンジンののっかってる車、ものすごく速い車。
「あー俺の車ってかっこい〜」
ガレージで惚れ惚れしながら撫でさすったりするんだろう。
しかし。
ビンテージギターを投機目的で買うという話を聞いたことがある。
で、飾るだけ。
ギターは奏でてナンボじゃないのか。 音を鳴らさないギターは幸せなのか?
サーキットなら300kmオーバーで走る車を、アウトバーンのない国で所有することは、その「奏でないギター」に近いのではないかなどと思ってしまう。
スピードメーターがいくら高速まで刻んであっても、日本ではせいぜい左半分しか使うことなく終わってしまう。
「わかってないなー。ロマンだよロマン」
会ったことないけど、マ(だいたい1500万円くらいらしい輸入車)のオーナーが不敵に笑う顔が目に浮かぶ。