愛すべきエンスーたち

バックナンバー
バックナンバー一覧

エンスーとは


いくつになっても・・・

私の周りには紅葉マーク(高齢運転者標識)のドライバーが多い。
特に実家ではよく目にする。
なんてたって農村部なので、高齢者が多いのと、田舎では車は“げた”代わりなので生活していくうえで必須アイテムだからだ。

自宅から離れた田畑に行くのも車(主に軽トラック)、隣町のショッピングセンターに買い物へ行くのにも車(あ、コンビニへ行くとくきも車だったりする。したがって農村部にあるコンビニの駐車場はどこも広い!)、病院へ通うのにも車。

年齢を重ねるほど、農作業で車を使用する率は減り(若いもんに任せるんですな)、もっぱら買い物や病院へ通うのに使用する率が高まる。
うちの実家のような農村部でも、たまに運転免許を持たない年配の女性もいるので、そういう場合は夫が車を運転して妻を送迎することになる。
高齢になると車で出かける先も限られ、同じ町内か隣町程度の行動範囲となるため、そんな老夫婦が乗っている車はたいがい小回りのきく軽自動車だ(農作業を引退し、軽トラックから軽に買い換えるケースも多し)。

だから、うちの実家周辺で見かける紅葉マークはたいがい軽だ。75歳の義父も、80を過ぎたうちの伯父も軽で元気に町内およびその近郊を走りまわっている。で、助手席には義母や伯母が鎮座しているのである。

かたや広島市内では、うちの田舎ほど紅葉マークを目にはしないが、ふと運転席を見ると白髪の紳士やマダムということがよくある。運転するのはハイグレードな国産車だったり、ハイソな外国車だったり…。

ともに60代半ばの知り合いのご夫婦は、コガネムシのようなメタリックなグリーンが鮮やかなドイツ製4シータークーペが愛車だ。座禅の会でご一緒するのだが、ご夫婦一緒に、あるいは奥様だけが、コガネムシ色のクーペーで颯爽と道場の駐車場に滑り込む様は、ほれぼれする。
彼らのような熟年ドライバーは、高級ホテルや美術館周辺でもよく見かける。

所変われば、運転手も変わるわけだが、それが田舎でも都会でも、年齢を重ねた男女がはつらつと車を運転している姿はかっこいいものだ。
オープン・ツーシーターで子供の保育園の送迎を、かつて夢見ていた私。その夢は果たせなかったが、粋な熟年ドライバーを見ていると、白髪頭で孫をツーシーターで送り迎えというのも悪くないじゃん、と次なる夢を追う気になるのだ。

※この記事は実話をもとに書いたものです。