
先日父の誕生日で、家族みんなでささやかなお祝い会食を実家でした時のこと。
さんざん飲んで食べて、食後のデザート。
話題は珈琲のハナシになる。
「そういえばさー、Sさんって知ってるよね」と兄A氏。
あー、知ってるよ。
「Sさんけっこう珈琲が好きでさ、豆にもこだわったりして、挽いてドリップしたりするんだよ」。
ほほー。やっぱ珈琲は豆が命だよね。
「でもさー、美味しいのはインスタントだっていうんだ」。
え、インスタントが?
「へたな豆よりインスタントが美味いって。
しかもいろいろあるやつの、いちばんふつうのやつが美味いって。
高いインスタントより」。
あの、ネスカ○ェとかのですか。
話を聞いていた母も
「ああーわかるわかる。あれ入れてからエレック(電子レンジのことを母はこう呼ぶ)でチンしたら美味しくなるのよね」。
と大きくうなづく。
いろいろ飲んだけど、やっぱりふつうのがいちばん美味しいと思う、とのこと。
へー、そうなんだ。今度ちゃんと飲んでみよう。
「でさー、思うんだけど、やっぱふつうのが一番なんだよ」
ん?どういうこと??
高級輸入車には、様々な「クラス」がある。
CだのEだの、3だの5だの、各ブランド表記は違うが、コンパクトカーから始まり、次第にハイクラスになってゆく。
ハイクラスになれば排気量が大きくなったり、内装がラグジュアリーになったり、もちろんお値段もゴージャスになっていく。
各ブランド、そのなかでも基準というか、基本と思われるクラスがある。
「その、ふつうの車が実はいちばんいいんじゃないかと思うんだよ」。
どうして?買えるお金があったらハイクラスのほうがやっぱいいんじゃないの?
「シャシー(*)は基本クラスのものが基準だから、それにすごいエンジン載っけてもねぇ」。
えーーー。すごいエンジンが載っかってるほうがいいんじゃないの?
「いや、それよりシャシーにフィットしたエンジンが載ったほうが、ドライビングレスポンスもバランスもよくなるし、長持ちするからいいんだよ」。
「それにエンジニアが『自分の稼ぎで買うんならこのシリーズ』って考えるから、基本のクラス制作に一番力が入る、ってハナシも聞いたことがあるんだよね」。
あーーー。それは非常に説得力ありますね。
ベーシックモデルにこそ力を注ぐ、開発陣のプロ根性をそこに垣間見ますね。
どのシリーズがいいか迷うとき、「買える財力」があるとついつい上のクラスを選んでしまう人が多いんだそうだ。
もちろんハイクラスにはハイクラスのよさがある。満足感とか。後光さす感じとか。
だけど、いちばん美味しいのはどれ?
自分の舌に正直にきいてごらん。
(*)シャシー(chassis)はフランス語で「フレーム」(枠)のことであり、自動車の骨格となるフレーム自体を指す。(Wikipediaより抜粋)
※まるでわたしの作り話のようですが、このコラムはおそろしいことにすべてノンフィクションなんですよー。