愛すべきエンスーたち

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エンスーとは


男のロマン

たて続けに、自動車部品メーカーを2社、取材した。

1台の車には、約3万点もの部品が使われているという。目に見えないところにもたくさんの技術の粋が詰まっていることを改めて感じ、今さらながら「自動車ってテクノロジーの塊なんだ」と気づく。

エンジンの始動音にも“品質”があると聞き、驚いた。
これまで、意識すらしていなかったのだが(車好きのあなたには信じられない話かもしれませんが…)
確かに、イタリア製の高級スポーツカーと軽トラックとでは始動音は大きく異なるわけで…。

エンジンを始動するときも静かで、かつ“いい音”でなければ、というニーズがそこにある。
私など、基本的にグレードの高い車に乗った経験が極めて少ないので、良いも悪いも違いがよく分からないのだが、エンジン音一つにもこだわりがあったり、体や耳に気持ちよい音を追求するのが“通”なのだろう。

ドアがしまるときの音もまたしかり。軽自動車や商用車に乗りつけている私など、バタンと大きな音がしないと、却って閉まった気がしないが、音の品質を追求すれば、ドアの閉まる音にも車に見合ったクオリティを求めるのは車好きにとっては自然なことだろう。

もっと静かに、もっとスムーズに、もっと気持ちよく…と、ユーザーの自動車の品質への要求はほとんどエンドレスと言っていいくらい高まり続け、それに応えるべく行われてきた技術開発。

「センミツ」と言って、千個の開発に対して三つ採用があれば恩の字というのが開発の世界と聞いた。他社に同じ技術を先取りされても文句は言えない。厳しい話だ。
限られた予算、限られた納期、高い要求にも屈せず、果敢に立ち向かう技術者がいて、千に三つの可能性に情熱を傾ける。そうしてできた車だもの、改良を重ねるたび、悪くなるわけはなく、そのクオリティはとどまることなく高性能になっていくのは当然だ。こうして日本の自動車製造技術は進化していった。

そう考えれば、男の人が夢中になるのもうなづける。
部品の数だけ開発秘話があり、技術者の智恵と努力と情熱が結集されていると思うと、メカにはまったく強くない私ですら、そのものづくりスピリットにぞくぞくしてくるのだから。

造る人がいて、乗る人がいる。
技術者たちの心意気が1台の自動車という形になり、それを体で感じて運転することは、車を介して物語を共有すること。男のロマンってこういうことなのかもしれない。

※この記事は実話をもとに書いたものです。