愛すべきエンスーたち

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エンスーとは


君といつまでも

車好きには、同じ車種の車をず~っと愛している人がいる。
元同僚のSくんは、独身時代から2児のパパになった今も頑固に旧型のMに乗り続けている。

先日、ある飲み会で一緒になったPさんも3児の父ながら、自家用車とは別に国産オープン2シータースポーツカーを所有。世間や奥さんがなんと言おうとも、独身の頃から乗り続けているその車を手放す気はないと言い切っていた。

3人のお子達はまだ保育園児らしいが、Pさんは日によっては子どもを一人ずつそのオープン2シーターに乗せて、家と保育園を3往復するのだと言う。いや、送りだけでなく迎えに行けば6往復することもあると言うではないか。

当然、往復している間、残された子どもはパパが戻ってくるまで待っていなくてはならない。下の子から順に乗せていると、最後に残るのは一番上のお兄ちゃん。
さすがにPさんもかわいそになり「しばらく待つようになるけど大丈夫か?」と声をかけたら、長男くんは「うん、大丈夫。待つ!」ときっぱり。
なんとけなげ。Pさんがそのオープン2シーターを愛する気持ちは、確実に彼の子どもへも受け継がれつつあるようだ。泣ける話ではないか。

3年前、その車種の試乗イベントに参加したとき、同世代のオーナーズクラブの人たちとこんな会話をしたことをふと思い出した。
「この車で子どもの保育園の送迎するのは、さすがにもったいないな~」とぽつりつぶやいた私に、オーナーのTさん曰く
「なぜ? すればいいのに。だって、子どもにとってはずっと記憶に残るよ。お母さんは保育園の送り迎えをあの車でしてくれたって。それ、子どもにとって最高の財産になると思うけどな~」

保育園の送迎にオープンカーなんて、見た目はかっこいいけどまったく実用的ではないし、夢のお話。ゆえに、今買う車ではないとあっさり結論づけていた私には、彼のひと言はとても衝撃的だった。

「子どもの記憶」か~。
好きな車に乗る楽しさを自分だけでなく、わが子と一緒に体験して、その記憶を共有する喜び。
車に求めるのは実用性だけじゃなく、大切な誰かと一緒に乗り、走る体験を重ねていくことだとTさんは教えてくれた。

そして、それを今まさに実践しているPさん。Pさんちの子どもたちは、パパが大好きな車の記憶を小さな体で感じ、胸に刻みながら大きくなるのだろう。
なんだかとってもうらやましい。

※この記事は実話をもとに書いたものです。