
オートマチックの高級車とマニュアルの軽トラック。
さぁ、どっちに乗りたい? と聞かれれば、私はすかさず「マニュアルの軽トラ!」と答える。
なんだかんだ言っても、私が一番好きな車は軽トラなのだ。それも絶対、マニュアル車!
思えば、軽トラとのつきあいは長い。うちの実家は、呉市民も地名を知らないほどの呉市北部の田舎町にある。当然、農村地帯なので、一家に一台必ず軽トラを所有。だって、農作業には必須アイテム。町民の足、いや、つっかけ代わりの車なのだ。
農村地帯とはいえ、その大半が兼業農家だ。平日、お父さんたちは呉市中心部や東広島方面に自家用車で出勤するのがお約束。だが、うちの父は定年まで勤めあげた隣町にある職場に、ほとんど毎日のように軽トラで通っていた。一応、4ドアの自家用車もあるのに…。
そう、うちの父は軽トラしかうけつけない体質になっていたのだ。古い男と言うか、時代遅れなやつと言いましょうか…。数回トライしたことはあるようだが、なぜか、オートマ車が苦手で(マニュアル車より楽なのに!)、70過ぎた今でもマニュアル車一本! しかも、軽トラっ!
そういえば、未だに父がちゃんとした車を運転する姿の記憶がない。脳裏によみがえるのは、麦藁帽子にTシャツ&作業ズボンで軽トラを乗り回す父の姿ばかりなり…。かれこれ30年来の軽トラ派?
そんな軽トラ野郎の娘として育った私は、運転免許を取得する時も、小学校の校庭で軽トラに乗ってギアチェンジの自主トレなどしたものだ。学生時代に下宿していた尾道から呉に戻るときも、引越しを頼んだのは軽トラの赤帽さんだった。安くいい仕事をしてくれたっけ。
結婚して、広島市内に住むようになって一番寂しかったのは、路上で軽トラをほとんど見かけなくなったことだ。田舎では、嫌というほど目にしてきた軽トラが、路上にも、駐車場にもいない…。たまに、運送屋さんや灯油を運ぶ軽トラを目にするくらいで、自家用軽トラなんて走ってない! ショック。
軽トラは乗っても楽しい。とってもシンプルな構造で必要最低限の装備しかないので、プリミティブな運転を楽しめる。ギアチェンジする時のスコスコ感といったらない。クッションも薄いので、でこぼこ道を走るとダイレクトに振動を感じられるのがたまらない。
子供のころは、あの荷台に乗って風を切るのが楽しかったものだ(今は、良い子はまねをしてはいけません。というか、乗ってはいけません)。今、ボディカラーは白が全盛だが、昔は薄いブルーとか、濃いカーキ色もあったよなぁ。
あ~、軽トラ・マイ・ラブ! 書いていたら、また乗りたくなった。私にとって軽トラは、ノスタルジー満載の癒しの車なのだ。
※この記事は実話をもとに書いたものです。