愛すべきエンスーたち

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エンスーとは


沈黙の車内

子どもが通う小学校周辺に不審者が出た。
しかも刃物のようなものを持ち、襲われそうになった女子中学生がいるという。物騒な話である。
知らせは、近隣の住人や保護者にもたちまち伝わり、警察が出動する騒ぎに。

放課後に発生した事態ということもあり、いつものように学校のグラウンドで遊びまわっていた子供たちは即座に集められ、先生たちが手分けをして送ることになった。うちの娘もご多分にもれず、その中の一人に入っていた。仲良しの友達数人と一緒に、担任の男の先生の車に乗せてもらい、順番に各家庭の近くまで送ってもらったという。

うちは小学校に一番近い場所にあることから、友達がひと通り家まで送り届けられ、うちの娘が最後に車中に残った。自分一人になったとき、こう思ったそうな。
「先生がずっと黙っとってじゃけん、なんかすっごい気まずくてさ~」
しんと静まり返った車中の雰囲気に耐え切れず、自分から先生に話しかけて、場をつないだという。

ふむ、分らなくもない。
私も仕事でカメラマンや担当者の車に同乗させてもらうことがある。よく知った相手となら、うだうだ世間話なんかしているもんだが、付き合いが浅い相手とか、初めて同乗させてもらうようなとき、話が途切れた時の沈黙がいたたまれず、あれこれこちらから話を振っては、沈黙をかき消そうとしてしまう。

しかし、である。自分が運転する車に人を乗せた場合、車内がシンとしていても、別に気にならないではないか、とふと気付いたのだ。
車を運転している時というのは、基本的に運転に集中している(当たり前のことだが…)。信号で停止したり、右折や左折したり、他の車に道を譲ったり譲られたり…と、何かしら次の動作を考えたり、判断をしては走行している。頭の中は運転モードなので、車中の沈黙って別に気にならない。たとえ同乗者がいようとも。

ね、車を運転する、あなたもそうではないだろうか? だから、運転手が黙っているからと言って、それほど気にすることはない。先生に話しかけたあんたの機転は評価するけど、運転手ってそんなもんよ、と娘には教えてやった。

だから、私自身も誰かの車に同乗させてもらうとき、相手が右折左折する時や、目的地を真剣に探しているようなときはむやみに話しかけないことにしている。運転の妨げになると思うからだ。黙って運転する相手には黙って従うことがあってもいいわけで。

複雑な道でなく、一本道を気楽に走っているようなときは運転手もリラックスして、自分から話しかけてくることも多いので、そんなときは会話を楽しむことにしている。
車をこよなく愛するドライバーの皆さん、助手席の心得としてはそれでいいんですよね?

※この記事は実話をもとに書いたものです。