
もうエコは現世の常識である。
地球温暖化を食い止めないと、わたしらの孫やひ孫の世の中が大変なことになってしまうらしい。ということでずいぶんエココンシャスな価値観が浸透してきたのではなかろうか。
もうみんなエコ大好き。エコ素晴らしい。
浮気がバレた彼氏が「だってそのほうがエコだと思ったんだ」などといえば
「なぁんだ案外この人地球のことちゃんと考えてるのね」なんて許してしまいかねない状況だ。
それはそうと不況である。
昨年末あたりだったか、リストラされ働く機会を失った人々が炊き出しの列に並ぶ映像がテレビで流れたのは記憶に新しい。
この人たちはどこで働いていたのか。そりゃいろいろだろうけど、ごっそり多数を占めるのは工場で働いていた人たちではなかったか。工場のラインで何をつくるのか。車と電気製品だ。売れなくなったから生産調整してラインが止まった -> 契約切りなどの人員調整が行われた。ということは、車と家電の需要を増やせば工場に人が戻るではないか。
ということでよし、みんなで車を買い替えよう!みんなで家電を買い替えよう!
あ、いいこと考えた!あのですね、車を買い替えるということはエコなんですよ。家電を買い替えることもエコなんです。ええーっほんとうですかそれはエコですね、すばらしい。エコですばらしいから減税しましょう。エコポイントで還元しましょう。国をあげてエコを応援いたします。
ひとびとは明るい話題にほころんだ。
効果はてきめん、個人消費が拡大し、業界は潤った。めでたしめでたし。
さて余談ではあるが先日不思議な話しを聞いた。
エコなクルマを買うと減税措置が受けられる、「エコカー減税」、正式名称は
「環境性能に優れた自動車に対する自動車重量税・自動車取得税の特例措置」という。
対象車両によってその減免が定められていて、ハイブリッドカーなら重量税・取得税ともに免除(中古車は軽減)なんですね。
で、ハイブリッドでない普通のガソリン車はどうなのかというと、「低燃費かつ低排出ガス認定自動車」であれば軽減されるのだそうだ。
その「低燃費かつ低排出ガス認定自動車」の中にもいろいろ区分がある。
(1)低排出ガス車認定制度(平成17年基準値)により低排出ガス車認定75%
低減レベル(☆☆☆☆)を受けているもので、かつ燃費基準を+25%以上達成している自動車
(2)低排出ガス車認定制度(平成17年基準値)により低排出ガス車認定75%
低減レベル(☆☆☆☆)を受けているもので、かつ燃費基準を+20%以上達成している自動車
(3)低排出ガス車認定制度(平成17年基準値)により低排出ガス車認定75%
低減レベル(☆☆☆☆)を受けているもので、かつ燃費基準を+15%以上達成している自動車
(1)だと重量税・取得税ともに75%軽減、②・③だと50%軽減になるそうだ。
“燃費基準を+●●%以上達成している自動車”というのは、「2010年度燃費目標基準」から算出する。

このように車重ごとに目標燃費が決められている。ガスランクと呼ぶそうな。
「重たい車ほど燃費が悪くてもしかたがない」と考えられているわけですな。
“燃費基準を+15%以上達成している自動車”というのは、例えば車重が1260kgならそのランクの目標基準値である16.0km/リッターから15%ほど燃費がよくなればOKということですね。
と、前段がものすごく長くなったが、わたしが聞いた不思議な話というのはここからである。兄A氏のエンスー仲間、関東在住H氏に教えていただきました。Hさんありがとう。
「とある車があったとさ。国土交通省に提出されている車両重量は1260kg。
ちなみに燃費は16.6km/リッターじゃったという。
ガスランク区分でいう軽いほうから4番目の「1016kg〜1265kg」に相当する車じゃ。
「燃費目標基準値」は16.0km/リッター。これでは 税の軽減措置は受けられん。
しかし、このクルマにカーナビだなんだかんだ、豪華オプションを装着することで車両重量をもう10kg増やすと、ガスランクが「1266kg〜1516kg」の区分に移行できることにおじいさんは気が付いた。
早速、豪華オプションてんこもり車両重量1270kgのその車をシャシーダイナモメーター(下がローラーになっていて走っても走っても進まない機械。燃費などを測定する)に乗っけて試験してみると、15.6km/リッターという値がでたのじゃ。ちなみに車重を増やしたこの車のガスランク基準値は13.0km/リッターになっておるから、あら不思議!基準値を見事20%も上回ることに成功したのじゃ。
こいつを特別仕様車として売り出せば減税措置が受けられる。
万歳、「エコカー」の完成じゃ。めでたしめでたし」
アメージング!アンビリーバボー!
おとぎばなし風に語ってもらったがこれはまったくの実話だそうで。
「標準車より10kg重たくなって、燃費は実質1.0km/リッター悪くなって、こんなんで減税措置受けちゃっていいの?」
とH氏は憤慨する。
どこのメーカーも環境によい車の開発にしのぎを削っている。
燃費を良くする技術は一朝一夕では開発できない。
そのためには今の車のどこにムダがあるのかを徹底的に検証し、エンジンや駆動システムの部品をミリ単位で設計し直し、考えられるありとあらゆる工夫にトライしている。
そうやって日々点を打つようにして開発された「エコカー」が認められ、減税措置を受けられるなら素晴らしいことだ。
しかーし 「ふつう車も ちょっと工夫で ほらエコカー」なーんていう「エゴカー」が混ざっているなんて。
これじゃいつまでたっても地球は冷えないのである。
冷やさないといけないのは無邪気に消費するわたしらの頭が先ですな。
※まるでわたしの作り話のようですが、このコラムはおそろしいことにすべてノンフィクションなんですよー。